■ 生命工学分野
脳波を用いた感性評価
生理工学・感性評価研究室
Keyword
・快適性/感性評価・脳波/自律神経活動・神経科学
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■快適な生活環境空間の実現や
安全な福祉医療機器開発に必要とされる
感性評価に関する生理工学研究
●本研究室では、人間の生活空間および福祉機器全般の快適性の評価方法を確立するために、被験者に音楽(聴覚刺激)を聴かせたり、画像(視覚刺激、聴覚刺激)を提示したり、匂い刺激(嗅覚刺激)を提示することによって変化した生体の感性(感情)を中枢神経系の働きとしての脳波活動や自律神経機能(心電図、呼吸曲線、血流、皮膚体温変化)を測定することにより、人間の快適状態の生理機能を明らかにすることを目的としています。●人間の感性を生理工学的に評価して、客観的かつ汎用性のある、人間生活工学の基礎知識に基づく『人に優しい物作り』に貢献しています。
これからの工業製品においては、従来の小さい・軽い・速いなどの性能重視の観点以上に、安心・安全・快適・健康・便利などマン・マシンインターフェイス(ヒューマンインターフェイス)を重要視した工学の発展が期待されます。
■研究テーマ
▼音楽鑑賞時における人の感情変化に伴う脳波パターンの変化に関する研究
▼画像刺激提示による脳波の変化に関する研究
▼アロマテラピー(芳香療法)に関する研究
▼入浴装置の快適性に関わる研究
▼入浴時の入浴剤による身体に及ぼす生理作用に関する研究
▼お香の精神安定作用に関する研究
▼琥珀の有効利用に関わる研究

脳波記録の様子

各測定点よりの脳波
香りによる顔面皮膚温の計測実験
●赤外線カメラ(サーモグラフィ)を使用して、人が香りをかいだときの顔面皮膚体温がどう変化するかを研究しています。図1は、実験風景を示します。
図2は、顔の固定と皮膚温度のサーモグラフィ(熱画像)の様子を示します。

図1)赤外線カメラによる体温計測の概観

図2)左側が顔面固定の様子.右側が皮膚温度分布
グラフの変化は、皮膚表温の変化を示しています。この変化と香りの効能の関係を研究しています。

図3)青森ヒバ刺激による顔面各部位の皮膚温変化
●どんな香りを使用しているかというと…
下北半島と津軽半島でのみ産出される青森ヒバ(ヒノキアスナロ)の蒸留によって得られた精油の香りを使用しています。香りの特徴はヒノキ風呂のようないい香りです!
●どのような効能を持っているかというと、
抗菌効果…………カビ、雑菌を寄せ付けない!
防虫効果…………白アリでも食べたら死んじゃう!
精神安定効果……ウルトラリラックス!
青森ヒバで建てられた家はこの効能より300年は持つといわれています。すごいですね!
癒しのアロマテラピー
1, アロマテラピー(芳香療法)とは?
●癒しブームで注目されているアロマテラピー。アロマテラピーとは、ハーブなどの天然植物が生み出す香りの成分を利用して、心や体を健康にするという自然療法のひとつです。
アロマは「香り」、テラピーは「療法」を意味しており、植物から抽出されたエッセンシャルオイルを使うものが一般的です。
2, アロマテラピーに関する研究

香りを漂わせるラベンダー
●アロマテラピーで使うエッセンシャルオイル(ペパーミント、ラベンダー、ローズマリー)を被験者に嗅いでもらい、そのときの脳波の変化を調べています。
特に、ペパーミントは頭脳明晰効果があると言われています。本当に効果あるのか?そこで脳波の変化を調べ、実際にその効果があるかを調べています。
3, 脳波とは?
●人間の体の中では、電気現象が生じています。その中でも脳機能の電気活動をとらえたものが脳波です。頭皮上に電極を付けますが、脳の電気活動を電極からキャッチしているのでビリビリと電流を感じることはありません。
脳波は、脳に異常がないか検査するのに用いられるのが一般的ですが、本研究室では、被験者に音楽を聞かせたり、匂いを嗅がせたり、画像を提示したりしたときの脳波の変化を測定して、人間の生活空間及び福祉機器全般の快適性の評価につなげたいと考えています。簡単に言えば、「癒し」の追求です。

