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教員の紹介同窓会岩手大学工学部大学院工学研究科岩手大学

受賞報告

平成22年度 化学系学協会東北大会 優秀ポスター賞
清水 津志
  応用化学科・生命工学専攻
  指導教官 鈴木 映一
  八戸工業高等専門学校 出身
[題 目]  

低温マトリックス中における
亜硝酸メチル-塩化水素錯体の振動スペクトル

清水 津志
[概 要]

 亜硝酸アルキルは大気光化学反応におけるアルコキシラジカルの発生源として重要である一方で、有機合成におけるニトロソ化等でのNOの供給源としても注目される。
 後者では酸中心との相互作用によるNOの活性化が重要となるが、分子内にルイス塩基として働く可能性のある複数の原子を有するため、酸分子との間で形成される分子錯体の構造に興味が持たれる。
本研究では低温マトリックス法によって亜硝酸メチルと塩化水素との分子錯体を捕捉し、その振動スペクトルと量子化学計算により構造的特徴を検討した。その結果、亜硝酸メチルのcis体、trans体いずれにおいても、中央の酸素原子に塩化水素の水素原子が配位した水素結合錯体が生成することを明らかにした。

[学 会 名]
平成22年度 化学系学協会東北大会
[学会概要]
平成22年9月25-26日に岩手大学工学部で開催された化学系学協会東北大会(主催:日本化学会東北支部他)において、特に優秀と認められたポスター発表に対し与えられた賞です。
ポスター発表総数317件の内、厳選なる審査の結果、42件が優秀ポスター賞に選定されました。当学生はその内の1名になります。
第25回 有機合成化学若手研究者の仙台セミナー賞
伊藤 央貴
  フロンティア物質機能工学専攻
  指導教官 小川 智
  岩手県立盛岡第一高等学校 出身
[題 目]  

新規な有機半導体分子群の合成と物性

[概 要]

 有機半導体は、インクジェットやスクリーン印刷技術による高速且つ大面積での印刷が可能である上に、フレキシビリティーや軽量化など、従来の無機エレクトロニクスとは異なる機能を有している。
 中でも、π拡張チオフェン類は、その外部刺激応答性から有機半導体としての機能に着目されており、良好な特性を示す分子群が数多く報告されている。

 本研究では、チオフェン骨格を有するコアユニットに対し、両端に置換基を有するスチリル基をウイングとして導入した分子を標的分子に選定し、合成、分光学及び電気化学的特性の評価に加え、有機電界効果トランジスタ(OFET)を作製することで、半導体特性の評価も行った。その結果、無置換体と比較して、スチリル基の末端に長鎖アルキル基を導入した分子群において、化合物の溶解性が向上するだけではなく、高い移動度を観測する傾向を確認した。
 さらに、分子内にチエノチオフェン骨格を導入することによる移動度の向上も期待される。

[学 会 名]
第25回 有機合成化学若手研究者の仙台セミナー
[学会概要]
本セミナーは、化学を専攻する大学院生及び若い研究者を対象に、明日の有機合成を考える会として開催され、有機化学の基本から新規方法論の展開及び標的物質へのアプローチなどの話を通して、有機合成の意義と重要性を発表することを目的としている。
今回のセミナー賞は、有機合成化学協会東北支部が主催した、第25回有機合成化学若手研究者の仙台セミナーにおける講演に対し、発表が優れていることに与えられた賞である。
平成22年度 化学系学協会東北大会優秀ポスター賞
菅 大輔
  フロンティア材料機能工学専攻
  指導教官 成田 榮一
  秋田県立湯沢高等学校 出身
[題 目]  

カーボンナノスフェアを鋳型とする
層状複水酸化物の合成

[概 要]

 層状複水酸化物 (LDH) は、陰イオン交換能をもち、ドラッグデリバリーシステムへの応用が期待されている。その性能は、粒子のサイズや形状によって変化することから、鋳型を用いた様々な形状のLDHが合成されている。
 本研究では、球殻形状をもつLDHナノ粒子に注目し、カーボンナノスフェア (CNS) を鋳型として用い、抗がん剤5-Fluorouracil (5-FU) を取り込んだLDH中空ナノスフェア (中空5-FU/LDH) の合成を検討した。

 共沈法により得られたLDH粒子をメタノール中に分散し、CNSを加えて超音波処理することで、CNS-LDH複合体を得た。つぎに、複合体を焼成し、CNSを除去するとともに球殻状のLDH酸化物を得た。これを5-FU水溶液に加え、LDH構造を再構築することで、中空5-FU/LDHを合成した。各生成物は、FT-IR、XRD、SEM、TEMなどによって評価した。

形状観察より、CNS-LDH複合体はCNS表面にLDHが膜状に付着したコア-シェル構造となり、その焼成物は球殻状の粒子であることが示された。FT-IR、XRDから5-FUの取り込みが明らかとなり、再構築法により中空5-FU/LDHを合成することができた。さらに形状観察より、一部に球殻形状がみられ、その表面はサンゴ状の凹凸があることが示された。今後、ドラッグキャリアとしての応用が期待される。

[学 会 名]
平成22年度 化学系学協会東北大会
[学会概要]
岩手大学工学部で開催された、化学系学協会東北大会のポスター発表に対して、発表内容が優れていることに対して与えられた表彰になる。ポスター発表総数317件の内、42件が優秀ポスター賞を受賞した。当学生はそのうちの一名になる。
平成22年度 化学系学協会東北大会 優秀ポスター賞
角田 純平
  応用化学・生命工学専攻
  指導教官 森 誠之
  宮城県泉館山高等学校 出身
[題 目]  

分子状薄膜のトライボロジー特性に対する
有機汚染物質の化学的影響

清水 津志
[概 要]

 ハードディスクドライブの環境内や構成部品からアウトガスとして発生する有機汚染物質は、ヘッド・ディスク界面(HDI)においてヘッドクラッシュなどの障害の要因となることが知られている。
 記憶密度の向上のため、HDIは更なる低スペーシング化が要求され、有機汚染物質がHDIに与える影響は重大なものとなり、大きな課題となっている。

 本研究では汚染雰囲気下でCSS(Contact start/stop)摩擦試験機、及び小型往復動摩擦試験機を使用し、汚染雰囲気でのHDIの摩擦挙動を調べた。また飛行時間型二次イオン質量分析計(TOF-SIMS)、X線光電子分光法(XPS)、原子間力顕微鏡(AFM)によるスライダ及びディスクの表面分析を行い、HDIのトライボロジー特性の解明を試みた。
 汚染雰囲気(D5)におけるCSS摩擦試験の結果より、通常に比べ不安定かつ高い摩擦係数が得られ、スライダ表面にはディスク回転方向にそった付着物が確認された。この付着物はTOF-SIMSによりディスク表面潤滑油であることが判明した。また摩擦係数の上昇は、ディスク表面での有機汚染物質の吸着により引き起こされたDewetting現象に起因すること分かった。
 これを改善するためディスク表面改質を行い、新規潤滑油を調製することで、有機汚染物質が与える影響を改善できることが明らかとなった。

[学 会 名]
平成22年度 化学系学協会東北大会
[学会概要]
岩手大学工学部で開催された、化学系学協会東北大会ポスター発表に対して、発表内容が優れていることに対して与えられた表彰になる。ポスター発表総数317件の内、42件が優秀ポスター賞を授与した。当学生はそのうちの1名になる。
2009年度 日本トライボロジー学会奨励賞
滝渡 幸治
  工学研究科・物質工学専攻
  指導教官 森 誠之
  一関工業高等専門学校 出身
[題 目]  

弾性流体潤滑下における
オレイン酸と基油との相互作用

清水 津志
[概 要]

 本論文は、弾性流体潤滑(EHL)条件下にある潤滑油膜を顕微FTIRによりその場観察し、添加剤であるオレイン酸と基油分子の相互作用およびヘルツ接触域におけるオレイン酸濃度との関係について検討したものである。
 EHLのトライボロジー特性を決定する因子として潤滑油の粘度特性があり、これには潤滑油の成分が関わっている。特に、潤滑中のヘルツ接触域周辺の潤滑油の状態は、静止状態とは異なると考えられ、潤滑しながら潤滑油の成分濃度を動的に観察する必要がある。ここでは、顕微FTIRを用いたその場観察により、ヘルツ接触域周辺の添加剤濃度を観察した。
 その結果、ヘルツ接触域におけるオレイン酸の濃度は基油の分子構造に強く依存することを見出した。すなわち、オレイン酸が基油と強い相互作用を形成するとき、オレイン酸はヘルツ接触域に導入されるが、相互作用が弱い場合には濃度低下を起こすことを明らかにした。
 以上のように本研究は、EHL条件下にある潤滑油成分の動的挙動を直接捉え、添加剤および基油分子の相互作用と添加剤濃度との関係を明らかにし、添加剤処方の一助となる知見を提供した。

[学 会 名]
社団法人 日本トライボロジー学会
[学会概要]
日本トライボロジー学会は、トライボロジー(摩擦、摩耗、潤滑の科学および技術)の基礎から最先端まで、この全分野の情報を交換する学会で、会員数約2500名、維持会員約150社から構成される。
今回の受賞は、本学会が主催する日本トライボロジー会議(年2回開催)の講演者と、本学会が発行する2つの学会誌(年5~12回発行)に掲載された論文・寄書・速報論文の著者の中で、本学会表彰規定に該当すると認められる研究成果をあげた若手会員(満36歳未満)に授与される。当学生は、今回受賞した4名のなかの1名となる。
優秀ポスター賞
川村 壮史
  フロンティア材料機能工学専攻
  指導教員 宇井 幸一
  岩手県立花巻北高等学校 出身
[題 目]  

泳動電着法によるSnO2ナノ粒子電極の作製
およびその電気化学的特性

清水 津志
[概 要]

 SnO2はその高い理論容量(783 mAh g-1)のため、新規リチウム二次電池用負極材料として注目されている。また、活物質粒子のナノサイズ化は、Li+イオン拡散距離の短縮や反応表面積の増加により、活物質利用効率の向上につながる。しかし、活物質にナノ粒子を用いると、バインダーとの有効な混合状態を得にくい。そこで本研究では、電気泳動により粒子を電着させる泳動電着法を用いて、SnO2ナノ粒子(平均粒子径17.3 nm)とアセチレンブラックからなるバインダーフリー共析膜電極の作製を試み、その表面形態と電気化学的特性を検討した。
 今後、この成果を活用することにより、高容量かつ高耐久な電気自動車等用リチウムイオン電池の開発が期待できる。

[学 会 名]
平成22年度化学系学協会東北大会 (主催:日本化学会東北支部他)
[学会概要]
岩手大学工学部で開催された、化学系学協会東北大会のポスター発表に対して、発表内容が優れていることに対して与えられた表彰になる。ポスター発表総数317件の内、42件が優秀ポスター賞を授与した。当学生はそのうちの1名になる。
優秀ポスター賞
富士井 大舗
  フロンティア材料機能工学専攻
  指導教員 宇井 幸一
  岩手県立黒沢尻北高等学校 出身
[題 目]  

ポリアクリル酸被覆黒鉛負極の
充放電反応の考察

清水 津志
[概 要]

 リチウムイオン二次電池用負極材料である黒鉛は、炭酸プロピレン(PC)系電解液中では充放電反応を発現しない。しかし、PCは優れた低温特性を有するため、電解液としての適用に向けた研究が活発に行われている。当研究室では、ポリアクリル酸(PAA)をバインダー兼被覆剤に用い、黒鉛粒子表面を被覆することで、PC系電解液中および炭酸エチレン(EC)系電解液中での充放電特性が改善することを報告した。
 そこで本発表では、PAAを被覆した黒鉛負極の特性改善について、充電時の被膜形成反応を中心に考察した。
 この成果によって、電池の作動温度範囲の拡大が期待できる。

[学 会 名]
平成22年度化学系学協会東北大会 (主催:日本化学会東北支部他)
[学会概要]
岩手大学工学部で開催された、化学系学協会東北大会のポスター発表に対して、発表内容が優れていることに対して与えられた表彰になる。ポスター発表総数317件のうち、42件が優秀ポスター賞を授与した。当学生はそのうちの1名になる。
若手優秀発表賞
小川 真世
  応用化学・生命工学専攻
  指導教官 大石 好行
  岩手県立盛岡第一高等学校 出身
[題 目]  

イミド骨格 を有する
ジシアナート樹脂硬化物の合成

[概 要]

 論文(作品)概要 シアナート基の環化三量化反応により得られるシアナート樹脂硬化物は、エポキシ樹脂硬化物より耐熱性および電気特性に優れる熱硬化性樹脂として知られている。近年、電子機器の高性能化に伴い、電子材料は低誘電率に加え、さらなる耐熱性の向上が要求されている。そこで本研究では、シアナート樹脂硬化物の耐熱性の向上と低誘電率化を目的として、ヘキサフルオロイソプロピリデン基を有するイミド骨格からなるジシアナートを合成した。

 シアナート樹脂硬化物の特性におよぼす含フッ素イミド構造の影響を明らかにするために,従来のビスフェノールA型ジシアナート(Bis-AC)と含フッ素イミド型ジシアナート(6F-4AC)の混合物から熱硬化物を作製した。6F-4AC の重量%が増加するにつれて、熱硬化物のガラス転移温度が上昇し、屈折率および屈折率から算出した誘電率が低下することがわかった。特に、Bis-AC/6F-4AC が60/40 wt%の場合に、305℃ の高いTg と1.588 の低いnD および2.77 の低いεを有する熱硬化物を得ることができた。

[学 会 名]
2009年高分子学会東北支部研究発表会
[学会概要]
高分子学会は、現在、会員数12,000を超える学術団体として、高分子科学の基礎的分野はもとより、機能性ならびに高性能材料などの応用分野、例えば電気、電子、情報、バイオ、医療、輸送、建築、宇宙など幅広い研究分野の会員によって支えられています。
高分子学会は、高分子科学と技術およびこれらに関連する諸分野の情報を交換・吸収する、さまざまな場を提供しています。会員はこれらの場を通じ、学術的向上や研究の新展開のみならず会員相互の人間的な触れ合いや国際的な交流を深めることができます。高分子学会東北支部は東北地方の学会活動を円滑にするために設立された団体で、年に1度の研究発表会の他、若手研究会などの活動を行っています。