FACULTY OF SCIENCE AND ENGINEERING, GRADUATE SCHOOL OF ENGINEERING, IWATE UNIVERSITY

化学・生命理工学科 化学コース

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表面・エネルギー化学分野

無機層状化合物の合成と無機有機複合材の工業的応用

無機材料化学研究室

Keyword

  • 無機有機複合材料
  • 無機層状化合物・インターカレーション
  • 環境親和性・生体親和性・無機合成
  • 異種材料接着複合化技術

環境材料とナノテクノロジー

近年、地球環境の保護、省資源、省エネルギーなどを考慮した材料開発が求められており、製造・廃棄・サイクルを含めた材料設計が望まれています。 私たちの研究室では、無機と有機をナノレベルで複合化した「高機能性材料」や「無機/有機複合接着材料」、「健康保持に役立つ材料」を開発するため、化学の知識と技術を駆使して研究を行っています。

研究テーマ

新規無機/高分子複合材料の開発に関する研究

もの作りは製品設計,組み立てそして機能性を発現させるための複合化技術が重要な役割を担っています.自動車部品,情報電子部品に関わるプラスチックやゴム製品は製造の簡素化,コスト低減のために接着技術を応用することによって成し遂げられています.

軽量化のためには異種材料間の高信頼性接着技術が不可欠です.そのための新規接着技術,接着剤の開発が必要です.異種材料間の接着とはどのような現象であり,どのような機構で起こっているのかを理解することによって製品の更なる機能性向上,多機能化が期待されます.

接着に関係する分野は物理,化学,熱力学,界面化学,材料力学,レオロジー,固体の表面化学など多面的な研究が不可欠です.私たちは分子接着技術を開発し、ゴムと金属の直接架橋接着,異種材料の接着における基材表面の化学構造分析と異種材料複合化に関する研究を行っています.

無機層状化合物と有機材料との複合化に関する研究

モンモリロナイトは、層状ケイ酸塩鉱物の1種であるスメクタイトに分類される陽イオン性粘土鉱物です。その結晶構造はケイ酸四面体層-アルミナ八面体層-ケイ酸四面体層の3層が積み重なっており、層の厚さは約10A(1nm)、サイズは0.1~1μmという極めて薄い板状になっています。

モンモリロナイト層間の陽イオンは簡単に交換することが可能であり、その陽イオン交換特性を利用し、層間へオクタデシルアミンなどの有機カチオンをインターカレーションしたものを有機変性モンモリロナイトとよんでいます。
有機修飾剤は第4級アンモニウム塩が一般的に用いられ、有機修飾することにより、ポリマーと混ざりやすくなり、粒子の分散性を向上することができます。

ポリマーに層状粘土鉱物を分散させたものは、ポリマー/クレイナノコンポジットとよばれ、ポリマーの耐熱性・難燃性・ガスバリア性・引張り強度・寸法安定性などの向上が期待されるため、各種ポリマーの用途開拓の一つの方法としてさまざまな分野において研究が進められています。
とくにモンモリロナイトの単位層はアスペクト比の高い板状構造であり、さらにマトリックス樹脂と強く結合した状態で高密度に分散するため、わずか数wt%添加するだけで効果を発揮し、成型品の表面外観品質の低下も発生しません。
そこで研究室では様々なポリマー/クレイナノコンポジットの合成およびその特性について研究を行っています。

高分子ナノ複合体 有機変性処理 LDHについて

層状複水酸化物(LDH)をホストとする無機/有機ナノ複合体に関する研究

LDHは簡単に言えば電荷の異なる二種類以上の金属イオンからなる水酸化物です。二価金属イオンの一部を三価金属イオンにより置換させたLDHが一般的で、層状構造を持っていることが特徴です。この水酸化物ホスト層間へ陰イオンがゲストとして優先的に取り込まれるため、陰イオン性粘土化合物ともよばれており、有害物質を取り込んで閉じ込めることができます。

また、薬効成分や紫外線吸収物質のような機能物質を取り込み、環境浄化や健康保持に役立てることも可能で、多くの利用法が考えられます。
その他、反対に陽イオンを層間に取り込む通常の粘土化合物についても研究を行っています。

これら層状化合物の合成やホスト-ゲスト反応は技術的には簡単で危険が少なく、条件は温和であり、多様な反応系が可能です。

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