FACULTY OF SCIENCE AND ENGINEERING, GRADUATE SCHOOL OF ENGINEERING, IWATE UNIVERSITY

化学・生命理工学科 化学コース

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木質バイオマスからの化学品原料合成

表面反応化学研究室白井誠之教授のグループは国立研究開発法人産業技術総合研究所と共同で,従来石油から得ていた化学物質を木質バイオマスから合成する新技術の開発に成功しました。

様々な化学品原料が石油から作られています。石油が限りある資源であることから,再生可能資源である木質系バイオマスを原料とする技術開発が世界中で研究が行われています。 木質系バイオマスは主にセルロース,ヘミセルロース,リグニンの三成分が絡み合った構造をしています。それぞれの成分を効率的に化学品原料へ変換する研究がなされています。反応の効率化だけでなく,変換過程で使用する薬品が人体や環境に負荷をかけないグリーンケミストリー技術の開発競争が世界中でなされています。開発技術は,高温高圧の水と二酸化炭素を反応媒体として,固体触媒によりバイオマスから化成品原料を合成する技術は,人体や環境へ優しい持続可能な循環型物質生産システム構築への貢献が期待されます。

研究成果
1)バイオマスに含まれるへミセルロース部位を加水分解し,得られるキシロースを脱水することで,溶剤等に用いられるフルフラールが合成できます。水中で木粉から直接フルフラールが得られる固体酸触媒の開発に成功しました。

2)セルロースから得られるエタノールを水素源としリグニン由来のアルキルフェノールを水素化し香料の原料へ変換できる金属触媒の開発に成功しました。

3)これまでの多くの研究は部位の一成分の利用がなされていましたが,三成分全てを段階的に化学物質に変換する触媒変換システム開発に成功しました。


新聞名と掲載日:岩手日報(2016.5.23)
見出し:木質バイオマス新技術
掲載論文:Chemistry Letters, 45 (2016) 643; Scientific Report, 7 (2017) 46172


私たちが研究を楽しみました

 吉田くる実 さん (盛岡第三高等学校 卒)
 大学院博士前期課程 応用化学・生命工学専攻 修了
【2016年度岩手大学優秀女性大学院生奨励賞,国際会議Catalytic Conversion of Biomass Best (Gold) poster award 】
水中で竹粉をフルフラールに変換できるゼオライト触媒開発に成功しました。試行錯誤を重ねより水中で安定に機能するゼオライトを開発しました。

 永澤佳之 君 (東北学院榴ヶ岡高校 卒)
 大学院博士前期課程 応用化学・生命工学専攻 修了

【2016年度岩手大学大学院工学研究科優秀学生賞,国際会議Catalytic Conversion of Biomass Best (Silver) poster award】
エタノール水溶液中でリグニン由来物を水素化できる金属触媒を見つけました。様々な機器分析を通して反応機構の解明を行うと共に触媒機能向上をはかりました。


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