〜栗原研究室〜
当研究所の多元ナノ材料研究センターのハイブリッドナノ界面研究部の担当であり,現在,栗原和枝(教授),水上雅史(助手),佐久間博(助手)の3名に博士研究員2名,技術補佐員2名のスタッフと,学生は大学院博士課程2名,修士課程5名,4年生2名の計9名です。
当研究室では,表面力測定を中心手段として,分子・表面間相互作用を明らかにするとともに,“力”を観察量とする界面や複雑系の新しい研究手法を確立したいと考え研究を行っています。
表面力測定とは,2つの表面間の相互作用力の距離依存性をバネばかりの原理で精密に(分解能,距離0.1 nm,力10 nN)測定するもので,相互作用の起源や,表面のナノ物性の解明に有力な手段です。
未来の技術を指向し,様々な領域でナノ工学の開発がはじまっています。材料や化学プロセスにおける微細化・精密化には,分子間・表面間の相互作用や界面の特性の理解・制御は欠かすことができません。それにより,初めて物質の特性を究極まで生かした材料創製や,微小空間での最適なプロセス設計が可能となります。また,構造と相互作用の解明は一般に物理・化学の基礎の課題のひとつでもあります。当研究室では,従来粒子の分散特性の評価に主に利用されていた表面力測定を,材料設計や生命科学に重要な対象に適用する新しい展開をめざしています。以下に,主な研究内容について紹介します。
(1)生体分子間相互作用の直接測定,発現機構の解明:
課題: どこまで相互作用の特異性を識別出来るか?
・タンパク質-DNA間,およびタンパク質間の相互作用直接測定
・酵素反応の素反応の解析
(2)複雑な系の物性評価:
課題: 分子1個の固さを測定出来るか?
・高分子電解質,ポリペプチドのブラシ層の構造と力学物性
(3)固-液界面における液体のナノ構造形成評価:
課題: 固-液界面における液体の分子論の構築
・固-液界面に水素結合により形成される分子マクロクラスターの研究
・ナノ共振ずり測定による限定空間における液体の特性評価
(4)装置開発
・ナノレオロジーおよびナノトライボロジー装置開発
表面に平行なずり応力を測定する自作の装置を用い,新しく開発した共振測定法により,液体薄膜のレオロジー挙動を評価しています。ノイズに強く,また数値解析が容易であると同時に,液体の秩序化を大きな信号の変化として簡単に測定できるという特色があります。装置の改良,ならびに解析モデルの開発も行っています。
◆研究設備:表面力測定装置:ANUTECH社Mark 4,表面力測定装置:日本レーザ電子(株)NL-SF00,単分子膜製造装置:ユーエスアイシステムFSD50,原子間力顕微鏡:セイコー電子SPI3700,フーリエ変換赤外分光光度計:パーキンエルマ−2000,表面力・ナノレオロジー同時測定装置,その他,表面ならびに界面の評価装置
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