研究について

■ポリマー/クレー複合体

近年、環境問題・省エネルギーなどの観点から、既存の材料の性能を超えた新規材料の研究が行われています。その中でも高分子材料 (ポリマー) は軽量かつ柔軟な材料であることから、金属・セラミックスなどの代替材料としての利用が注目されています。しかし、これらの要求を満たすためには高分子材料のさらなる高性能化や機能化が必要です。ポリマーと層状無機化合物 (クレー) をナノレベルで複合化させたポリマー/クレー複合体 (Polymer/clay hybrids) は、ポリマー・クレー双方の特性を有する新規材料への応用が期待されており、さかんに研究が行われています。
当研究室では、クレーとして天然の粘土鉱物のほか、層間に機能性物質を取り込ませたLDHを用いることで、様々な特性を持ったポリマー/クレーナノコンポジットの調製を行っています。

【ポリマー/クレー複合体の特徴】

•ポリマー単体と比較して、機械的特性 (強度・弾性率・摩擦特性など)の向上や、新機能 (耐熱性加工性・ガス透過性など)の発現が見られる。
•少量のクレー添加量 (一般にはポリマーに対して数%) で各種特性が大きく向上する。
•既存の材料・技術・製造設備で調製可能であるため、比較的安価である。

【当研究室でのポリマー/クレー複合体の研究例】

•ゴム/クレー複合体の調製と機械的特性の評価
•LDHのデラミネーションを利用した、樹脂/LDH複合体の調製
•ゴム/炭酸カルシウム複合体の抗菌性評価
•耐酸剤挿入LDH添加による樹脂の熱劣化の抑制

表面処理クレー添加によるゴム/クレー複合体の機械的特性に及ぼす影響

ポリマーマトリックス中に層状ケイ酸塩(クレー)を複合化させたポリマー/クレー複合体は、各種特性の向上や新機能が発現することから注目 されています。研究室では、エチレンプロピレン共重合体ゴム(EPDM)に各種クレーを複合化させたEPDM/クレー複合体を調製し、複合体の機械的特性に及ぼすクレー粒子の表面処理の影響について研究しています。