■層状複水酸化物(LDH)

層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide:LDH)は2価の金属水酸化物に3価の金属イオンが固溶した複水酸化物で、水酸化物基本層が正電荷を持つため、層間に負に帯電する陰イオンを挟んだ積層構造の化合物です。 LDHは「ホスト-ゲスト反応」により、二次元基本層(ホスト層)を保持したまま、層空間に原子・分子・イオン (ゲスト物質)を取り込むことができます。この反応を「インターカレーション」と言います。 当研究室では、LDH層間への様々なゲスト物質のインターカレーションを試み、新規機能性材料や有害物質の除去への応用を行っています。

【LDHの長所・短所】

<長所>

•合成が容易
•2価-3価金属イオンの組合わせが多様
•毒性がない
•陰イオン交換能がある
•平板上粒子である
•生体親和性がある

<短所>

•粉体で取扱いが難しい
•溶解性が少しある
•基本層が柔軟
•熱的にやや不安定

【当研究室でのLDHの研究例】

•有用成分の分離・回収・濃縮(脂肪族カルボン酸・脂肪族スルホン酸・芳香族スルホン酸など)
•有事成分の除去・固定化(キレート試薬・界面活性剤・染料など)
•層間架橋体 (多孔質体) の合成(カリックスアレン・シクロデキストリン・アミノ酸など)
•機能性物質の保持剤(高分子添加剤・ゴム架橋剤・医薬品・蛍光物質など)

カーボンナノスフェアを鋳型とする層状複水酸化物の合成

層状複水酸化物 (LDH) は、陰イオン交換能をもち、ドラッグデリバリーシステムへの応用が期待されています。その性能は、粒子のサイズや形状によって変化することから、鋳型を用いた様々な形状のLDHが合成されています。研究室では、球殻形状をもつLDHナノ粒子に注目し、カーボンナノスフェアを鋳型として用い、抗がん剤5-Fluorouracilを取り込んだLDH中空ナノスフェアの合成について研究しています。

フルオレセイン/Mg-Al系層状複水酸化物の合成と細胞内への取り込み挙動

層状複水酸化物 (LDH) は、陰イオン交換能を有する粘土鉱物の一種です。研究室では、フルオレセインを層間に取り込んだLDHを用い、LDH粒子の細胞内輸送を可視化し、輸送機構を解明することを目的とし研究しています。