岩手大学工学部 応用化学・生命工学科 無機材料化学研究室

岩手大学大学院工学研究室 フロンティア材料機能工学専攻 エコナノ材料研究室

無機材料化学研究室

層状複水酸化物 (LDH)
層状複水酸化物(Layered Double Hydroxide:LDH)は2価の金属水酸化物に3価の金属イオンが固溶した複水酸化物で、水酸化物基本層が正電荷を持つため、層間に負に帯電する陰イオンを挟んだ積層構造の化合物です。 LDHは「ホスト−ゲスト反応」により、二次元基本層(ホスト層)を保持したまま、層空間に原子・分子・イオン (ゲスト物質)を取り込むことができます。この反応を「インターカレーション」と言います。
当研究室では、LDH層間への様々なゲスト物質のインターカレーションを試み、新規機能性材料や有害物質の除去への応用を行っています。
LDHの長所・短所
<長所>
  • •合成が容易
  • •2価−3価金属イオンの組合わせが多様
  • •毒性がない
  • •陰イオン交換能がある
  • •平板上粒子である
  • •生体親和性がある
<短所>
  • •粉体で取扱いが難しい
  • •溶解性が少しある
  • •基本層が柔軟
  • •熱的にやや不安定
当研究室でのLDHの研究例
  • •有用成分の分離・回収・濃縮
    (脂肪族カルボン酸・脂肪族スルホン酸・芳香族スルホン酸など)
  • •有事成分の除去・固定化
    (キレート試薬・界面活性剤・染料など)
  • •層間架橋体 (多孔質体) の合成
    (カリックスアレン・シクロデキストリン・アミノ酸など)
  • •機能性物質の保持剤
    (高分子添加剤・ゴム架橋剤・医薬品・蛍光物質など)
カーボンナノスフェアを鋳型とする層状複水酸化物の合成
層状複水酸化物 (LDH) は、陰イオン交換能をもち、ドラッグデリバリーシステムへの応用が期待されています。その性能は、粒子のサイズや形状によって変化することから、鋳型を用いた様々な形状のLDHが合成されています。研究室では、球殻形状をもつLDHナノ粒子に注目し、カーボンナノスフェアを鋳型として用い、抗がん剤5-Fluorouracilを取り込んだLDH中空ナノスフェアの合成について研究しています。
フルオレセイン/Mg-Al系層状複水酸化物の合成と細胞内への取り込み挙動
層状複水酸化物 (LDH) は、陰イオン交換能を有する粘土鉱物の一種です。研究室では、フルオレセインを層間に取り込んだLDHを用い、LDH粒子の細胞内輸送を可視化し、輸送機構を解明することを目的とし研究しています。
Copyright 2013 Laboratory.All Right Reserved.