Q & A:有機廃液

***********************************************

(Q)有機イオウ化合物を含む含ハロゲン溶媒ー炭化水素系溶媒の混合物の廃液はどの区分に含めるのか。

(A) 含ハロゲン有機溶媒としてではなく「有機イオウ化合物を含む有機廃液」として取り扱います。予め内容物がわかっている(表示されている)場合には、焼却等により発生する塩化水素等の除去処理は可能です。

***********************************************

(Q) 窒素化合物を含む有機廃液は焼却により窒素酸化物が出るのではないか。分別しないのか。

(A) 焼却処理の過程で窒素酸化物の除去も問題なく行えますから、「窒素化合物」としての分別の必要はありません。

***********************************************

(Q) 単体イオウ・セレン・テルルを含む有機廃液はどうすればよいか

(A) 単体イオウを含む有機廃液は焼却により二酸化硫黄が発生しますから「有機イオウ化合物を含む有機廃液」として扱います。ただし有機廃液中の単体イオウは溶媒留去や濾過等により予め可能な限り取り除いてください。単体セレン・テルルも同様に溶媒留去・濾過等により有機廃液から予め除去してください。

***********************************************

(Q) 有機リン化合物を含む有機廃液と有機イオウ化合物を含む有機廃液は同じ区分だから混合してもよいか。

(A) 可能な限り分別貯留してください。混合物の状態でしか回収できない場合は内容表示を必ず明記して下さい。

***********************************************

(Q) 有機セレン・テルル化合物を含む有機廃液はどの区分にあてはまるのか。

(A) 有機セレン・テルル化合物の混入は一般に重金属の処理を困難にしますので、可能な限り「有機金属化合物を含む廃液」への混入を避けて下さい。また他の有機廃液とも可能な限り区別し、「有機イオウ・セレン・テルル含有有機廃液」「セレンテルル含有含ハロゲン系有機廃液」「セレンテルル含有可燃性有機廃液」等として別個に回収貯留してください。

***********************************************

(Q) 有機ヒ素化合物を含む廃液はどうすればよいか。

(A) 「含有機イオウ・リン有機廃液」と同じ順位の分類となりますが、有機ヒ素化合物を含む廃液は他の有機廃液とは可能な限り区別し、別個に分別回収してください。

***********************************************

(Q) 水とエタノールの混合溶媒は本当に「難燃性有機廃液」でよいのか。

(A) 「難燃性有機廃液」 として取り扱います。

***********************************************

(Q) ジクロロメタン等は低沸点であり、使用中や回収時に蒸発して体積が減ってしまう。使用量と排出量の一致は不可能だ。

(A) 現実的には「入」と「出」を一致させるのはかなり困難と思いますが、圧力調節機能付きのエバポレータなどを使用することにより低沸点有機溶媒を極力環境中に放出しないよう努めてください。ジクロロメタンは量の大小にかかわらず有害物質です。むしろ実験などでジクロロメタンを可能な限り使用しないように工夫していただくのが最も有効な対策です。

***********************************************

(Q) 金属塩の溶解しているDMSOやDMF等の極性溶媒は水洗いによる金属塩の除去ができない。このような溶液をそのまま廃棄するにはどの区分に含めたらよいか。

(A) 適当な区分はありませんので、「有機金属化合物」の区分に含めてください。その際、その金属塩の種類により「有機水銀化合物を含む廃液」か「それ以外」かをきちんと区別してください。また廃液として出す場合には構成成分を明確に表示してください。

***********************************************

(Q) メタンスルホン酸水溶液はどの区分に入れるか。

(A) メタンスルホン酸水溶液は「難燃性有機廃液」に含めます。ただし焼却により二酸化硫黄が発生しますので、回収の際は別途に分別回収してください。

***********************************************

(Q) 少量の酢酸はそのまま「流し」に捨ててよいか。

(A) 酢酸は原則として中和処理をしてから流しに捨ててください。中和せずに流しに捨てるのは廃棄量が少量の場合に限ります。廃棄量が多く苛性ソーダ等による中和処理が困難な場合には「難燃性有機廃液」として回収します。

***********************************************

(Q) 高濃度の洗剤(石けん液)の水溶液と思われる液体が研究室の片隅に放置されている。どの区分で廃棄したらよいか。

(A) 内容表示をした上で「難燃性有機廃液」に入れてください。

***********************************************

(Q) 有機スズ化合物はどの区分に入れたらよいか。

(A) 有機スズ化合物には環境ホルモン作用を疑われているものがあるため、「その他の有機金属を含む有機廃液」として有機スズ廃液だけを区別して回収してください。なお有機ケイ素化合物や有機ゲルマニウム化合物を含む有機廃液は内容物を表示して「その他の有機金属化合物を含む廃液」に含めます。

***********************************************

(Q) オイルバスに使用して褐色になったなたね油はどうしたらよいか。

(A) 廃なたね油(サラダ油等)は「廃油」として取り扱います。なたね油は使い込むと粘性が上がり固体と同じ状態になりますので、そうなる以前の段階で廃棄してください。なお固化している場合でも焼却処理は可能です。

***********************************************

(Q) 有機系廃液区分早見表で「水溶性」と「非水溶性」の定義が意味不明。

(A) 早見表の「水溶性」「非水溶性」の表示は不適切です。たとえばエタノールや酢酸は水溶性ですが有機化合物です。従って「水溶性」→「有機化合物を含まない」、「非水溶性」→「有機化合物を含む」と読み直してください。原則的には無機廃液には有機物の混入がないようにしてください。

***********************************************

(Q) すべての場合において含ハロゲン廃液、ベンゼン、非ハロゲン廃液を区別しないのか。

(A) 分類は上位のものが優先します。ただしそれは「下位のものどうしを混合しても構わない」ということではなく、可能な限りの分別をして頂きます。

***********************************************

(Q) たとえば水の含有量が5%以上の有機水銀廃液の取り扱いはどうするのか。

(A) 有機水銀化合物はできるだけ過マンガン酸カリウム等により酸化分解を行って無機の「水銀廃液」として回収貯留してください。それが困難な場合には多少の水分が含まれていても有機の「有機水銀化合物を含む廃液」としてください。最も好ましいのは有機水銀化合物が廃液にでるような実験研究を避けていただくことです。

***********************************************

(Q) 鉄さびが混じって茶色になったモーターオイルはどの区分に回収すればよいか。

そのまま「廃油」の区分に含めて構いません。ただし「鉄さびを含む」旨のコメントを内容表示欄に記載してください。

***********************************************

(Q) 塩化水素ガスを含む有機廃液はどの区分か。

(A) 含まれる塩化水素ガスの量にもよりますが、通常は分液・水洗い等の処理により塩化水素ガスを含む一般の酸性物質は有機溶媒より除去できます。できればこの操作を行った後の有機廃液を回収容器に入れてください。ただしそのような操作が困難である場合には、塩化水素ガスが含まれている旨を内容表示欄に記載してください。

***********************************************

(Q) シアンイオンを含んでいたりシアンイオンを発生しうる化合物を含む有機廃液はどの分類に属するか。

(A) シアンイオンは有機無機にかかわらず厳しく分類し、必ず内容表示をします。有機廃液の場合はそれぞれの分類をさらに「含シアン系」と「非シアン系」にわけて回収貯留してください。

***********************************************

(Q) 研究室で不要になった有機化合物(固体・液体)を有機廃液の中に混入させて廃棄しても構わないか。

(A) 毒物及び劇物取締法に指定されている「毒物」と「特定毒物」に含まれる有機化合物、PCB、一般の有機金属化合物、無機化合物全般、についてはそのような方法による廃棄は不可ですが、それ以外の有機化合物の場合には有機溶媒に溶解させた形での廃棄を行っても構いません。ただしこの場合にも廃棄する有機化合物の内容表示(化合物名・量等)を明確に示しておくことが必要です。なお廃棄する有機化合物がPRTR法で指定された第1種または第2種指定化学物質の場合には「廃棄に関する記録」の作成と保存が不可欠となります。
***********************************************