バングラデシュ工科大学の紹介
歴史的背景
バングラデシュ工科大学(略称はBUET)はバングラデシュで最も古い工科大学である。その歴史は英国統治時代の1876年に鉱石探索技術者を養成するためにベンガル州政府により設立されたDhaka Survey School(ダッカ鉱石探索学校)に遡る。その後1948年にこの学校は3年制の工業学校「Ahsanullah School of Engineering (アッサヌラー工業学校)」と改称され、土木工学・電気工学・機械工学の3学部を持つにいたった。その後「Ahsanullah Engineering College (アッサヌラー工科大学)」と改称され、ダッカ大学の一学部(工学部として位置づけられた)として現在地にキャンパスを有するに到った。その段階では「Ahsanullah Engineering College (アッサヌラー工科大学)」は学部学生を対象とする4学部(土木工学・電気工学・機械工学・化学および金属工学)により構成されていた。さらに、より高いレベルの教育と研究を行うことを目的として「Ahsanullah Engineering College (アッサヌラー工科大学)」に大学院が設置され、その名称も「East Pakistan University of Engineering and Technology (東パキスタン工科大学)」と変更された。更に1971年にパキスタンから独立したのに伴い、その名称が「Bangladesh University of Engineering and Technology (BUET) (バングラデシュ工科大学)」と変更されて現在に至っている。
キャンパス
バングラデシュ工科大学(略称はBUET)のキャンパスはバングラデシュの首都ダッカの中心部に位置している。そのキャンパスはまとまっており、程良く歩いて移動できる範囲内に多くの学部や研究所、事務局、宿舎等が収まっている。現在のキャンパスの総面積は76.85エーカー(31.1ヘクタール)。そのうちで研究部門の占める面積は30.24エーカー(12.24ヘクタール)であり、シャヒブシャラニ通り、バクシ通り、アジアハイウェイにより区画が仕切られている。この区画内には5個の学部、3個の研究所、事務局の建物、中央図書館、体育施設、講堂、教職員スタッフ専用のクラブハウス、副学長専用棟などがある。
構成
バングラデシュ工科大学(略称はBUET)は以下の部局・組織により構成されている。
・評議会
・学術委員会
・予算委員会
・学部
・入試委員会
・学部委員会 (BUGS)
・大学院委員会 (BPGS)
・高度教育研究委員会 (BPGS)
・将来計画委員会
評議会は大学の運営の方針作成に関する主要な問題を決定したり他委員会に諮問したりするための委員会である。予算委員会、将来計画委員会、その他の委員会は評議会の業務を補佐する。学術委員会は大学の学問的な規則や学術環境の整備を検討し、その検討結果を学部委員会・大学院委員会・高度教育研究委員会に諮問する。
学長
バングラデシュ工科大学の学長にはバングラデシュ人民共和国大統領が就任することになっているが、現在は大学の要請に基づきバングラデシュ政府の首相が大統領の指名により学長に就任している。学長の職務はすべての会議の召集(形式的に)を行うことである。
副学長
副学長はバングラデシュ工科大学における学術研究教育と事務の全ての面を統括する最高責任者である。副学長は学長により指名され、その任期は4年である。副学長の職務は大学内におけるあらゆる機関・会議・委員会等を実際に召集し、その業務進行を管理することである。
学部と学科の構成
バングラデシュ工科大学では5学部の下に16のDepartment (学科)が配置されている。工学部・土木工学部・電気電子工学部・機械工学部には4年生以上の学部があり、化学科・土木工学科・コンピュータサイエンス工学科・電気電子工学科・工業と製品製造工学科・材料と金属工学科・機械工学科・海洋工学科・水資源工学科では4年の課程修了により学士の資格を与えている。また建築と都市計画工学科では5年の課程により学士の称号を与えている。ただし都市と地域計画工学科は4年の課程である。ほとんどの学部には大学院が設置されており、課程修了者には理学工学修士または工学修士の学位が授与される。さらにいくつかの学科には博士課程も設置されている。また建築工学部と都市および国土計画工学部の中にはポストグラデュエートコース(博士課程修了者のための研究教育課程)も設置されており、それらは主に国連やバングラデシュ政府の資金、あるいはバングラデシュ大学助成資金 (BUGC)、科学と情報通信に関する研究助成金(GOB) などの外部資金により運営されている。大学内の教官や研究室の業績はバングラデシュ国内の様々な問題解決のために活用され、専門家の多様な知識と経験は国内の多くの組織に提供されている。学部ごとの学科構成、学位授与体制等は以下に示すとおりである。
建築と都市計画学部
・建築学科(4年生と大学院)
・都市と地域計画学科(4年生と大学院)
・人文社会科学科
土木工学部
・土木工学科(4年生と大学院)
・水資源工学科(4年生と大学院)
電気電子工学部
・電気電子工学科(4年生と大学院)
・コンピュータサイエンス工学部(4年生と大学院)
工学部
・化学工学科(4年生と大学院)
・材料と金属工学科(4年生と大学院)
・化学科(大学院)
・数学科(大学院)
・物理学科(大学院)
・石油および金属資源工学科(大学院)
機械工学部
・機械工学科(4年生と大学院)
・工業と製品製造工学科(4年生と大学院)
・海洋工学科(4年生と大学院)
研究所・センター
・河川管理研究所
・最適化技術研究所
・情報とコンピュータ技術研究所
・エネルギー研究センター
・環境と資源管理研究センター
・生薬技術研究センター
・国際訓練ネットワークセンター
大学の構成員(2002年)
建築と都市計画学部
教官:52
事務官:2
技官:24
土木工学部
教官:87
事務官:6
技官:32
電気電子工学部
教官:98
事務官:8
技官:28
工学部
教官:82
事務官:8
技官:51
機械工学部
教官:75
事務官:4
技官:38
研究所・研究センター
教官:40
事務官:4
技官:22
事務局
事務官:119
その他の部署
技官:703
合計
教官:434
事務官:151
技官:898
学生数
学部
男性:約3600人
女性:約400人
大学院
男性:2200人
女性:200人
大学院生の内訳
工学部:170名
土木工学部:150名
機械工学部:110名
電気電子工学部:100名
建築と都市計画工学部:60名