岩手大学 物質機能・エネルギー科学系
学術講演会
主催:岩手大学物質機能・エネルギー科学系
日時:平成26年3月6日(木)13:30〜16:00
会場:盛岡市産学官連携研究センター(コラボMIU)
講演:
1)「高分子メモリ」
神奈川大学客員教授(東京工業大学名誉教授) 上田 充 氏
2)「透明光学樹脂の企業での研究開発」
後藤技術事務所 後藤
幸平 氏
講演内容
1)「高分子メモリ」
ユビキタス社会の実現に向かって、半導体集積回路の高集積化は目覚ましく、半導体のメモリも飛躍的に増大していますが、同時にシリコン半導体デバイスの物理的限界および製造コスト増大が問題になっています。一方、有機物を用いた電子材料の発展も目覚ましく、特に高分子メモリの研究も近年活発化しています。高分子メモリはポリマーフィルムを金属電極で挟むだけの非常に簡素な構造体であり、駆動電圧が低く、駆動安定性が高く、3次元化が容易であることが特徴です。本講演では、この高分子メモリのデバイス構造、種類などを解説いただいた後、ポリイミドを用いた高分子メモリについて、ご紹介いただきます。
2)「透明光学樹脂の企業での研究開発」
後藤氏は長年、ファインケミカルの国内トップ企業であるJSRで研究リーダーとして勤務されました。透明光学樹脂に関わる研究開発として、@改良Ziegler-Natta触媒開発による1,2-ポリブタジエン系熱可塑性エラストマー、AROMPによるノルボルネン系光学樹脂、B脂環族系ポリイミドによる液晶配向膜、ならびにC芳香族系耐熱透明樹脂の高分子設計などを担当されました。企業における研究開発は、該当期の収益だけでなく、その国の法規制をクリアすること、将来性を見据えた開発につなげること、社会や環境との持続的な調和を考えることなど様々な要素が複雑に絡み合っています。本講演では、蓄積された技術をニーズに合わせた材料開発のために、どのようにつなげるのか、高分子材料設計における「考え方」を例に取り、知識と知恵の融合についてお話しいただきます。
問い合わせ先:工学部応用化学・生命工学科 大石 好行
内線:6930
E-mail:yoshiyu@iwate-u.ac.jp